過払い金請求| 大阪の弁護士が作成したアイフルに対する準備書面 本文へジャンプ
アイフル答弁書に対する準備書面7
「3.悪意の基準時についてA」について


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「3.悪意の基準時についてA」について
ア 被告アイフルの主張
「平成19年6月7日最高裁判決は、『同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており、当該基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ、これをその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解するのが相当である。』と判示した。
被告は、そもそも当該判決は信販会社(オリエントコーポレーション)での事例であることや、明示の合意は一切ないことなどより、過払金充当合意そのものを否認するものであるが、仮にこの充当合意により、過払金をその後に発生する新たな借入金債務へ充当するのであれば、被告を悪意の受益者とした年5分の利息は、取引終了時より付すべきであり発生都度付すべきではない。
前記『過払金充当合意』には、最高裁判決により、『新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金を同債務に充当することとし、借主が過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって、一般に過払金充当合意には、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれている』という。
過払金は、本来、期限の定めのない不当利得返還請求権であり、発生時点からいつでもその権利行使が可能であるところ、当該過払金充当合意により、取引が終了しない限り、新たな借入金債務へ充当し、その結果充当により消滅した借入金には、(当然のことながら)利息制限法所定の利息さえも付さない(付すことが出来ない)というのであるから、このような過払金には、その発生時点より民法704条にいう悪意の受益者としての年5分の利息は付すべきではなく、少なくとも、権利者が取引の継続を望まず、取引が終了し、過払金の返還請求を行った等の時点より年5分の利息を付すことが、民法412条の規定の趣旨からも適当である。
すなわち、継続的な金銭消費貸借取引の場合に発生した過払金は、その後に生じる新たな借入金債務に充当されることが当事者の合意により予定されているところ、継続取引の場合、過払金の発生状況と、新たな借入金債務への充当による過払金の解消状況とが継続的に、あるいは断続的頻繁的に惹起する可能性が大きいと考えられる。そのような可能性がある場合、一般的に、借主は、過払金に利息を付して後の借受金に充当する意思を持って過払金の返還請求しない(する)ものとするのは相当では無く、また、貸主は、過払金に利息を付けて後の貸付金に充当する意志を有すると解するのも一般的に相当ではない。そうすると、過払金充当合意が含まれる継続的な金銭消費貸借契約を締結している当事者は、通常、当該取引が終了し、過払金の返還請求を行った等の時点までの期間においては、過払金に対して利息を付する意思を有しないと認めるのが当事者の合理的意思に合致するところである。
このことは、当該過払金充当合意により、自己の過払金の運用を放棄していると解されること、民法704条が民法703条と違い、現存する利益にとどまらず、利得した金員の全額と、専ら賠償的性質として民事法定利率年5分の利息を付していることなどからも明らかである。(そうでなければ、当該過払金充当合意があるが故に、故意に長期間不当利得返還請求権を行使しないことで、弁済額から借入額を差し引いた金員以上の返還請求(例えば計50万円を借り入れ、計150万円を返済したケースにおいて、110万円の返還請求を求めること)が可能となり、契約(合意)当時予測していたであろう内容と全く異なる結果を招くものであり許されない。)」
イ 原告の認否及び反論
(ア) 最高裁判所判決の引用文のみを認め,それ以外については,否認及び争う。最高裁判所判決の引用文以外は,被告アイフルの独自の見解を展開するに過ぎず,理由となっていない。
(イ) 同判決は,確かに信販会社(オリエントコーポレーション)に対する判決ではあるが,信販会社であれ,消費者金融であれ,利息制限法所定の利率を超えた継続的な金銭消費貸借であることは何ら変わりはなく,消費者金融である被告アイフルに対しても,適用しうるものである。
(ウ) さらに,前述のとおり,悪意の受益者に関する先例となる判例は,最高裁判所第三小法廷平成19年7月17日判決(事件番号 平成18年(受)第1666号)(甲6号証)もある。
この判決によると,貸金業者が利息制限法の制限超過利息を受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条「悪意の受益者」であると推定されるものとしている。
(エ) 被告アイフルは,同判決について何ら触れておらず,独自の見解を展開するに過ぎないことは明らかである。
(オ) 本件においても,被告アイフルは,答弁書において,利息制限法所定の利率による引き直し計算を行うことについて同意し,かかる利率による引き直し計算を行った計算書を提出しているのであるから,各弁済金を受領した時点において貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有していたとの推定を受ける。
(カ) 被告アイフルは,この推定を破るだけの反証を行っていない。
(キ) 従って,被告アイフルは,民法704条にいう「悪意」の受益者に該当する。



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弁護士 佐 野 隆 久

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