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アイフル準備書面に対する反論準備書面

消滅時効の起算点


消滅時効の起算点
6 「第6.消滅時効について」
(1) 「1」について
ア 被告の主張
被告は,本訴提起から10年より前に取引(原告の支払)によって発生した過払金については,民法第167条の消滅時効を援用する。
イ 原告の認否及び反論
否認及び反論する
原告・被告間の最終取引は,平成21年8月11日であり,本訴提起時平成21年11月5日とは,僅か2か月強であって,消滅時効の要件を具備していない。従って,被告の主張には,理由がない。
(2) 「2」について
ア 第1段落について
(ア) 被告の主張
不当利得返還請求権の時効の起算点は,個々の取引により不当利得が生じた各時点からである(大判昭和12年9月17日民集16巻1435頁)
(イ) 原告の認否及び反論
大審院昭和12年9月17日判決があることは認めるが,被告はその一部のみ引用しており,大審院判決の要旨を曲げている。
すなわち,同判決は,次のとおり述べている(原文は,片仮名及び旧字体であるので,引用文は,平仮名及び現行字体に改めている)。
「民法第166条の存するに依りて見れば消滅時効は権利者が権利を行使することを得るに拘わらず之を行使せざることを前提とするものと謂わざるべからず。而して斯る見解は権利擁護の立場より見て正当なりと謂うべく且つ民法第158条乃至第160条に掲ぐる時効停止の規定に照らし之を是認せざるを得ずと謂うべし(反対の判例の如きは蓋其の当否に付き,更に攻究を為すの要あらん)右に述べたるところに依れば債権者が法律上債権を行使することを得るに拘わらず何等かの事由に因り事実上之を行使することを得ざる場合に於いては決して債権の消滅時効の進行するものと為すべからざるなり,即債権の消滅時効は債権者が法律上債権を行使することを得るのみならず事実上之を行使することを得る場合に限り其の進行を始むものと解すべきものとす。而して債権者が債権の発生したることを知らざるときは実際之が行使を為すに由なく,事実上之を行使することを得ざるものなること明らかなり。故に債権の発生せるに拘わらず債権者が之を知らざりし場合に於いては後日其の発生を知りたるときに始めて債権の消滅時効の進行するものと解すべきものと謂うべし」
被告は,この大審院判決を十分に読み込んでおらず,一部を引用するに過ぎない。
イ 第2段落及び第3段落について
被告の第2段落以下の主張は,昭和12年9月17日大審院判決を一部引用及び誤った引用を行った上で,独自の見解を展開するに過ぎない。従って,被告の主張に理由がないことは明らかである。
ウ 原告の主張
最高裁判所第一小法廷平成20年(受)第468号同21年1月22日判決の裁判要旨は,次のとおりである。
「継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が借入債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合は,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する。」
本件は,同判決の要件を充たすものであるから,過払金返還請求権の消滅時効は,取引が終了したときから進行するものである。すなわち,消滅時効の進行は,平成21年8月11日から進行する。
従って,本件は,10年間の時効期間の要件を充たさないことは明らかであり,被告の消滅時効の主張には,理由がないことは明らかである。



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弁護士 佐 野 隆 久

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