過払い金請求| 大阪の弁護士が作成したアイフルに対する準備書面 本文へジャンプ
アイフル答弁書に対する準備書面2
2 個別の資料の提出は、不要か。


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2 「2.悪意の受益者か否かを判断するにおいては,原告ごとの個別の当時の資料(契約書控えやATM明細書の控え)の提出は不要であることについて」について
(1) 第1段落について
ア 被告の主張
平成19年7月13日及び平成19年7月19日最高裁判決は,「貸金業法43条が認められるとの認識を有していたことについて,やむを得ないといえる等の特段の事情のない限り,過払金発生時から悪意の受益者により5%の利息が発生する。」と判示している。
イ 原告の認否
認める。
(2) 第2段落について
ア 被告の主張
一方,平成21年7月10日最高裁判決により,貸金業法第43条の成立をめぐる平成18年1月13日最高裁判決以前になされた期限の利益喪失約款の下での支払については,これを受領したことのみを理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできず,利息制限法超過利息の支払にあたって,法17条書面及び18条書面の交付がなされたか否かを検討しなければならないと判示された。
イ 原告の認否
認める。
(3) 第3段落について
ア 被告の主張
この平成21年7月10日最高裁判決の法理に従って民法704条の悪意の受益者か否かを判断するにあたって,法17条書面及び18条書面を交付したことの立証は,原則として,当該顧客(原告)に関する具体的立証を要さず,前述したような,貸金業者の業務体制についての一般的立証で足りると解される。
イ 原告の認否及び主張
否認する。
平成21年7月10日最高裁判決は,「貸金業者の業務体制についての一般的立証で足りる」とは,一切述べていない。
そもそも,民事訴訟の既判力は,個別的・相対的なものであり,その主張及び立証は,当該事件に関して行わなければならない。とすれば,法17条書面及び18条書面を交付したことの立証は,当該顧客(原告)に関する具体的立証を要する。
被告の主張は,民事訴訟の構造を無視した独自の見解を述べたに過ぎないものである。
(4) 第4段落について
ア 被告の主張
なぜなら,利息制限法超過利息の受領そのもの(法43条)の成立を争うような紛争と違い,前述平成18年1月13日最高裁判決によって法43条が死文化してしまった今日においては,単に民法704条の法定利息の有無を判断するのみであるところ,法17条書面及び18条書面を交付の有無の審理にあたって,当該顧客(原告)ごとの数十回乃至数百回にわたる取引について,法17条書面及び18条書面を書証として取り調べることとすると,裁判所にとっても多大な審理上の負担となり,訴訟経済の観点からも極めて不相当である。
イ 原告の認否及び主張
争う。
そもそも,被告は,訴訟経済の意義を取り違えている。
訴訟経済の定義は,「訴訟を運営するに当たって,裁判所,当事者その他関係人の労力,出費,必要時間等の負担をできるだけ軽減するのがよいという訴訟制度の基本適用要請の一つ。適正,公平の要請と調和させつつ考慮されなければならない。」(有斐閣法律用語辞典第2版879ページ第3段)とある。
被告の主張は,自らの主張立証を放棄することを,訴訟経済の文言を誤用して,正当化するに過ぎない。本件のように,取引回数が僅か160数回に過ぎない場合に,裁判所が法17条書面及び18条書面を書証として取り調べることは多大な審理上の負担となるものではない。
加えて,被告の主張は,有斐閣法律用語辞典も述べる「適正,公平の要請」に関し何ら述べていない。
したがって,被告の主張には,理由がない。
(5) 第5段落について
ア 被告の主張
また,貸金業者において,とある顧客(原告)については書証が検索できなかったが,とある顧客(原告)については書証の検索が出来たからといって,当時の貸金業者の悪意についての認識を推定するにあたって,判断を違える結果となることは法理に反することとなる。
イ 原告の認否及び主張
争う。
被告(貸金業者)において,とある顧客(原告)については書証が検索できなかったということは,被告において,単に,立証を失敗したことを意味するに過ぎない。
また,民事訴訟の個別性・相対性から,ある顧客に対して,立証を成功し,ある顧客に対して,立証を失敗することは,民事訴訟法が予め予定するものであって,被告の主張には,理由が無い。
(6) 第6段落について
ア 被告の主張
したがって,被告会社において,顧客(原告)に対して法17条書面及び18条書面を交付する一般的な業務体制を構築していたことが証拠によって認められ,且つ,原告の業務体制に反して法17条書面及び18条書面を交付されなかったことをうかがわせる証拠も無いときは,原告に対しても法17条書面及び18条書面を交付なされていたと認めるべきである。
イ 原告の認否及び主張
争う。
被告の主張には,論理の飛躍がある。被告の業務体制が整っていたからといって,必ずしも,個別の顧客に対して,法17条書面及び18条書面を交付されたとは限らない。
被告は,みなし弁済を主張するのであれば,個別の顧客(原告)に対して,立証を行う必要がある。
(7) なお書きについて
ア 被告の主張
※なお,被告会社が,原告との取引当時より,法17条書面及び18条書面を交付する業務体制を構築していたことの証拠は,次回口頭弁論に間に合うように提出する予定である。
イ 原告の主張
被告が提出しようとする証拠は,本件において,被告の悪意を否定するに足りる証拠ではない。このような本件の紛争解決に何ら役に立たない証拠提出のために,口頭弁論期日を無駄に設けることこそ「訴訟経済」に反するものである。

コメント アイフルの準備書面を書いた者は,若干の民事訴訟法の知識はあるのでしょうね。もっとも,民事訴訟法上の語句を曲解していますが。もうちょっと民事訴訟法の勉強をしましょうね。



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弁護士 佐 野 隆 久

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