過払い金請求| 大阪の弁護士が作成したアイフルに対する準備書面 本文へジャンプ
アイフル答弁書に対する準備書面
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「第5.取引の分断について」


第5 取引の分断について
「第5.取引の分断について」について
ア 「1.平成19年2月13日最高裁判決について」について
(ア) 被告アイフル主張の「平成19年2月13日最高裁判決」が存在することについて,認める。
(イ) その余については,否認及び争う。
被告アイフルは,同判決の一部を切り貼りして,趣旨を歪曲したものであり,同判決を根拠とした主張には理由がない。
そもそも,この判決は、継続的な貸付が繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合であり、さらに反復継続した取引を予定していたとはいいにくい事案についてのものである。このような特別な事情の下における判決であり、本件を含めた、一般的な消費者金融業者との間の取引の事案に妥当するものではない。
イ 「2.平成20年1月18日最高裁判決について」について
(ア) 被告アイフル主張の「平成20年1月18日最高裁判決」が存在することについて,認める。
(イ) その余については,否認及び争う。
(ウ) 原告の主張
被告アイフルは,同判決の一部を切り貼りして,趣旨を歪曲したものであり,同判決を根拠とした主張には理由がない。
同判決においては、基本契約が異なる場合に第1の基本契約に基づく取引にかかる過払金が第2の基本契約に基づく取引に係る債務に充当される場合の特段の事情について判示している。その特段の事情として掲げられた中には、「第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間」や「第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等」が挙げられている。本件の場合には平成8年8月16日から平成14年11月28日までの6年3か月という長期間にわたって貸付と弁済が繰り返され、そのわずか1か月19日後に、再度貸付けがなされており、その契約条件も利息や遅延損害金といった内容は全く同じである。このような事情からは、同判決に照らした場合、本件は明らかに「第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合」であって、「第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意」が存在するものと解される事案である。
ウ 「3.借入の申込時の審査について」について
(ア) 原告は,全て否認及び争う。
(イ) 原告の主張
被告アイフルも認めているとおり,少なくとも2回目の取引の申込時において,何らの信用調査を行っていない。
また,被告アイフルは,「無担保無保証の商品においては,申込時に本人確認書類しか受け取っておらず,具体的な書類等の信用調査を行っていない。」旨主張する。しかし,現実に,被告アイフルは,新規借入の際には,所謂ブラックリストに掲載されているか否かの調査を行っており,被告アイフルの主張は,実体を無視した主張であり,理由がない。
被告アイフルが,2回目の取引以降の取引開始時に実質的な審査を行っていないことを認めていることからも,1回目の取引と2回目の取引との間で連続性が認められる。
エ 「4.契約番号について」について
(ア) 原告は,全て否認及び争う。
(イ) 被告アイフルは,答弁書添付の取引計算書において次の会員Noを使用している。
別紙1−1(被告アイフル主張の第1取引)
会員No:0046−0174767
別紙1−2(被告アイフル主張の第2取引)
会員No:0046−0174767
被告アイフルの主張の骨子は,「ほぼ」一貫した会員番号の使用している場合に関してであり,本件のように,全く同じ会員番号を使用した場合とは異なるものである。
従って,被告アイフルの主張は,本件には当てはまらず,理由がない。
オ 「■.“似たようで異なる”番号となることは当然であること」について
(ア) 原告は,全て不知である。争う趣旨である。
(イ) 被告の主張は,「各取引にかかる契約番号が一部酷似」した会員番号の使用している場合に関してであり,本件のように,全く同じ会員番号を使用した場合とは異なるものである。
従って,被告アイフルの主張は,本件には当てはまらず,理由がない。
カ 「6.まとめ」について
原告は,全て争う。被告アイフルの主張に理由がないことは既に触れたところである。
キ 取引が一連のものであることに関する原告の主張
(ア) 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付と返済が繰り返されている金銭消費貸借取引においては,借主は,借入総額の減少を望み,複数の権利関係が発生するような事態が生ずることは望まないのが通常である。このような借主の合理的意思からすれば,過払金発生後の貸付に対しても当然に過払金の充当を認めるべきである。借主が相殺の意思表示をしなければ,過払金債権と貸付金債務が併存し,かつけ金債務に過払金債権が充当されず,貸付金の元本が減少しないというのであれば,法的に無知な借主の犠牲の下,将来,貸金業者は,過払金返還債権が消滅時効してしまうことによる利益と高利の貸付金元本が確保されるという利益を得る可能性があり不当である。
(イ)a 本件各取引は,いずれも消費者金融業者である被告アイフルが,一般市民である原告に対して,利息制限法所定の制限利率を超える高金利,無担保の貸付をしたものであり,また,一定額以上の弁済をしていれば貸借取引が継続していくリボルビング式の契約で,実際に頻繁に貸付と返済が繰り返されていた。
b 本件各取引開始時の貸付は,いずれも被告アイフルの同一の支店でなされ,被告アイフルは,本件各取引を同一の顧客番号「0046−0174767」で管理していた。
c また,原告は,第1取引開始時も第2取引開始時も,勤務先,住居,家族構成,年収等殆ど変わらなかった。
d 以上の事実によれば,本件各取引は,一定の借入限度額を定めた上で借入と弁済を繰り返す継続した一連の取引というべきである。
e さらに,第1取引の期間中,借入限度額の範囲内で借入と弁済が頻繁に繰り返されていたところ,同取引終了日である平成14年2月19日の時点において,原告・被告アイフル間で貸借取引関係を終了させる手続きをした事実も存在しない。
f 加えて,別個の貸借取引を開始する場合には,新たな与信判断を行い,収入を証明する書類等も新たに徴求するのが通例であるところ,本件においては,第2取引開始時に,本人を証明する書類のコピーを授受したものの,収入証明書類等の授受は行っていない。
このように,被告アイフルによる実質的な審査すなわち新たな与信判断が行われた事実はない。
従って,第2取引開始時に締結された極度借入基本契約は,第1取引と同様の貸借関係を従前どおり継続することを,原・被告アイフル間で確認したに過ぎないものであることは,明らかである。
よって,第2取引が,原告・被告アイフル間で第1取引と別個の貸借取引関係を回する旨の合意をしたものということはできない。
g 以上のとおり,本件各取引は継続した一連の取引と認められるから,原告が平成14年2月19日に金50万8062円の支払をした時点で生じた過払金44万7303円は,その後,平成14年4月10日に被告アイフルから金50万円を借り入れた時点で,何らの意思表示をすることなく当然に借入金債務に充当され,さらにその後も,過払金が生じていれば,その後に原告が借り入れた借入金債務に充当されるものである。



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